ロゲイニング世界選手権2016(スタート前編)

第14回世界選手権が開かれたノース・テリトリーは、州域のほとんどが砂漠であり、居住地も限られている。この周辺随一の街であるアリススプリ ングスから80kmほど西にいったロス・リバー・リゾートのキャンプ場が会場。購入した地図で見ると、アリススプリングスからリゾートまでは地図 上で8cmしかない。10万分の1だから8km?なんとなく腑に落ちずに見ていると、縮尺が1:1,100,000であることに気づいた。乱視の せいで並んだ1がよくみえなかったのだ。ならば約80km。地図に表現された地形のテクスチャーが日本の地図なら10万分の1の感じだったので、 そう誤読してしまったのかもしれない。であれば、実際の山塊の規模は日本のスケールの10倍。その規模のフィールドだからこそ、24時間という競 技がふさわしくなるのだろう。

 

会場に着くと、世界選手権とは思えないのどかさが漂っている。好成績を狙っているマジ組は1割というところか。地図を配る瞬間は行列になるが、 行列にも日本の3-6時間大会のような殺気は感じられない。80cm×60cmにちりばめられた83個のCPには呆然とする。しばらくこの呆然感 を味わってみよう。コンピューターでも難しい巡回セールスマン問題。でも作戦の時間はたっぷりあるのだ(3時間)。そのうち、無意識がまあ満足で きる方向性を示してくれるだろう。

 

エリアは東西に走る山の列で南北に区切られ、北は比較的微地形が広がる比高さ100m以下の丘陵地、谷の南側には比高200mの東西に延びる直 線的な山地が海馬のMRI画像のような褶曲を見せ、さらにその南側には比高さ300mの山地がそびえる。エリアごとのアップダウン、ナヴィゲー ションの難しさ、配点を把握し、大まかな作戦を立てることで枝刈りをしていく。 

 

結局ハッシュハウスからは一番遠い(直線で16-18kmほどある)東のエリアがナヴィゲーション的にも楽しそうだが得点も高い。そこでできる だけ沢山CPをとるのがよいだろうという結論になった。途中に広大なスピニフィックス(ハリセンボンのようなとげのある葉先を持つ砂漠に生息する 植物)のやぶエリアがあるが、南側のデンスな(濃い)エリアよりはまし。さらにその南の300mの丘陵地は私たちの体力では、効率よく回れないだ ろう。北側のスピニフィックスの藪エリアを通過し、東のエリアにできるだけ長く滞在する。ひょっとすると夜明けまでハッシュハウスに戻れない 「旅」になりそうだ。どこかで仮眠することもありえる。ひょっとすると食料も24時間分持たせることを考えて準備しなければならない。

 

24時間のロゲイニングでは、周り方に応じて装備や途中戻ることを考えての後半の装備の準備も変わるので、焦ることはないにしても3時間は意外 と短い。最初の給水ポイントまでの時間は短い。水を最小限にして軽量化を図る。

 

(競技編に続く)