ノルウェー人の心のふるさと

左:遙かにロンダーネを臨む。中央:ノルウェー航空の尾翼に描かれたロアルド・アムンゼンの肖像画、右:ビルケバイナースタジアム。夏はこうやってローラースキーを練習する人たちで賑わう。

 2日間のノルウェー山歩きを楽しむため、五輪で有名なリレハンメルの郊外にあるノルドセッタという場所に滞在しました。このエリアはクロスカントリースキーにとっては聖地とも言うべき場所で、ノルウェー建国の史話に因む約58kmのクロスカントリースキーレースも行われています。

 

 このレースでユニークなのは、参加者が5kgの荷物を背負うことが義務付けられている点です。13世紀に初めて統一国家を築いたホウカン・ホウカンソンがまだ赤子の時、反対勢力の追っ手からの逃避行を余儀なくされました。この時赤子である王子を守り厳冬期の荒野をリレハンメルからレナまで送り届けたのが、ビルケバイナ-と呼ばれる兵士たち2人でした。この時の王子の体重が5kgだったのだ。ビルケバイナーとはもともとは白樺(ビルケ)の皮で作ったすね(バイン)あてを当てた、いわば貧乏兵士への蔑称でしたが、それがいつしか屈強の兵士を意味するようになりました。リレハンメル五輪の時にクロスカントリースキーのメイン会場は、彼らにちなんで、ビルケバイナー・スタジアムと呼ばれています。

 

 自然に立ち向かう屈強なイメージはノルウェーにふさわしく思えます。1911年にはノルウェーのアムンゼンが世界ではじめて南極点に到達しました。その後もノルウェーは南極の探検を続け、1930年には東南極の広大な土地を当時の王女にちなみドローニング・モード・ランドと名付けており、このエリア一帯は随所にノルウェー語の地名が付けられています。昭和基地があることで日本には有名なオングル島も、ノルウェー語が由来です。  隕石調査で世界的な研究成果を挙げたセールロンダーネ山脈もまたノルウェー語です。セールはノルウェー語で南という意味で、リレハンメルの北方にあるロンダーネ山塊に因んで名づけられたものです。印象的な山容に恵まれるこの地は、ノルウェー人の心のふるさととも言われています。

 

 今回はロンダーネにいく時間はありませんでしたが、遙か彼方に雪を冠したロンダーネ山塊を見ながら、ノルウェー人の探検のことに思いを馳せました。