10. 行ける気がしない...

 数日前、公開利用研究採用通知が来た。2年後の研究採用に向けて申請書を出していた。春からの長いプロセスの中でヒアリングも受けた。その通知かと思ってどきどきしながら開と「第59次観測隊・・・」とある。そういえば申請中なのは萌芽研究だ。これは公開利用研究だから今次隊のものだ。確かに正式採用の通知は10月と聞いていた。その通りだった訳だ。参加が文科省のページにも掲載されているにもかかわらず、本人が今頃正式に通知されるというのもおかしな話だ。それにしても、このタイミングで「不採用」だったら、えらいことだ。まずは喜んでおこう。

 

 正式の通知を受け、出発の日まで6週間を切ってしまったのだが、全然行ける気がしない。4ヶ月留守にするための様々な事前対応やら、集約してしまった授業のせいもある。おまけに秋には学内論文の締めきりやら研究助成の申請やら研究者として必須の仕事がある。そんな中でも研究準備もしなければならない。もちろん寒冷地のための装備の購入もしなければならない。大学に籍をおいて南極にいく方なら当たり前のようにこなしていることなのだろうが、なかなか新米には荷が重い。

 

 加えて大学で管理職になってしまった仕事もボディーブローのように利いてくる。日々対応はしているのだが、基本的になくなることのない種類の仕事なので、こんな仕事を代行の方に残していくのかと思うと、申し訳なく、また気が重くなる。 行ける気がしなくなる。でも行くと決めたのだから後戻りはできない。こうした種類の感情は、どこかで未練として切り捨てていかなければならないのだろう。

 いやはや、ハードルはどこまで行ってもなくならない。