タンスの整理

 遠征に先立って、タンスの中の古いスポーツウェア類を整理した。89年から使っている日本チームのOスーツも処分した。さすがにもう穴だらけだ。ゴミ箱のそばに積んでおいたら、次男がサッカースパイクの泥磨きに使ってしまった。「日本代表のウェアでスパイクを磨いたら日本代表になれるかもしれないよ」というと、彼は嬉しそうに笑った。

 

 僕には物質崇拝の習慣はないので、代表ウェアで泥を磨いたからといって何とも思わないが、代表ウェアに袖を通すことの重みは、それが当たり前のことではなくなった今は痛切に感じる。このウェアを来たくても、そのチャンスが与えられない選手は数多くいるのだ。そして2年前は僕もその一人だった。このウェアに袖を通したいと真剣に願う選手の数が多ければ多いほど、代表もまたそれに袖を通すことに誇りを抱き、最高のパフォーマンスを発揮できるのだろう。このウェアに袖を通し公式戦を走ることも、多くてあと3回。