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セーフティーインストラクション

 ロゲイニングの世界選手権でニュージーランドにいくときに、エアー・ニュージーを利用した。同国はラグビーが盛んなことで知られているが、2012年にはそのワールドカップが開かれる。機内のセーフティーインストラクション映像もラグビーバージョンになっていた。これがものすごく笑える。

 

 冒頭はCAの「これから、安全に関するティームミーティングを行います」という言葉で始まり、オールブラックスの花形選手やコーチが登場する。CAがその花形選手にチューするマネをしながら携帯で写真を撮ろうとすると、「離陸時には携帯電話は利用することはできません」とナレーションが入り、監督が渋い顔で「喫煙は機内のチームワークを見なす行為として、退場になる」と話す。頭上の棚に物をいれる際の注意では、背の低いおばあちゃんが届かないで苦労していると、オールブラックスの屈強の選手二人が軽々とおばあちゃんを持ち上げて、手伝う。すべからくそんな映像が流れる。

 

 セーフティーインストラクションは分かり切った内容だから、最近まともに見たことなかったが、乗り換えの度毎に見て内容もほぼ憶えてしまった。ワールドカップ向け盛り上げに一役買うとともに、安全情報の伝達という点でも大きな成果を上げている。

 ちなみに、この映像の最後のシーンは、選手に持ち上げてもらったおばあちゃんが裸で通路を走るというシーンなのだが、これは日本-ニュージー線ではカットされている。

 

 安全に関する情報といえば関心したのは、スパにあった子ども用プールだ。日本でも「お子さんから目を離さないように」くらいの注意はあるが、そこにある注意書きは恐ろしく具体的なのだ。

「もしあなたのお子さんが5歳以下なら、あなたは常に手の届く範囲にいなければならない。8歳以下なら、あなたは常に能動的に監督していなければならない」親がすべく行為が非常に明確である。

 

 諸外国の登山道にはレベル分けがされているものが多いが、ニュージーランドでもそうだ。その境界に写真のような看板が立っている。「この先は山岳ルートである。あなたが十分な経験と装備を持たなければ入ってはならない。ルートファインディングと地図読みのスキルは必須である」

 

山は自己責任の場所と言われるが、それは管理者からの適切な情報提供と表裏一体である。