21. 大陸へ

定着氷に入り500mほどのところで停船中のしらせ。海氷の上でペンギンが遊んでいる。船は珍しいので見に来るのだそうだ。
定着氷に入り500mほどのところで停船中のしらせ。海氷の上でペンギンが遊んでいる。船は珍しいので見に来るのだそうだ。

 暴風雨圏での揺れは、比較的穏やかだったという。その後、前進後退を繰り返して氷を割るラミングも、多い年では数千回にもなるのに25回に留まった。しらせは順調に航海を続け、12月16日に大陸からの氷続きの場所である定着氷に辺縁に到着した。

 

定着氷を500mくらい入ったところでしらせは停船。昭和基地に物資を運んだり、野外調査に入る観測隊員を乗せるヘリのブレードの組み立てなどの輸送の準備に入った。船が動いていないので、艦内の乗員もややリラックスモード。しらせ乗員と観測隊員との懇親会やしらせならではのイベントである耐寒訓練(ほぼ素っぱだかのかっこで甲板を一周する!)が行われた。

 

観測隊のほうは、船倉にごっそり積み込まれた荷物や食料を再度各調査チームに分けたりと、準備が慌しくなる。食料はしらせから一括して観測隊に渡される。それを調査人日で按分して配布するのだが、1300日人の食料+非常食を配布するので、80人以上が座れる隊員公室の机の上に食料がところ狭しと積まれる。それを各チームの責任者が、食料リストに記載されているとおり、ひとつひとつ探して確保する。21世紀とは思えない超アナログ的な方法だが、物流の末端では結局こういう作業がなくならないのだろう。

 

この後観測隊員はヘリで昭和基地に運ばれるが、直接野外調査に入る隊員もいる。中には、そのまま40日ほど氷河上で生活する調査チームもある。こういうチームメンバーは、昭和基地ではほとんど生活しないのだ。

 

僕は研究テーマ上(過酷な環境でのリスク認知)、できるだけリスクの高い調査チームに同行する計画を作成したので、しょっ端はこの氷河チームと行動をともにする。その後は昭和基地に入ったり、他の野外観測への同行を繰り返す。昭和基地では、短い夏の間に越冬に向けた建設作業や機械の整備が行われる過酷な夏作業の時期が待っているが、野外に出る研究者たちも限られた期間で予定とおりの調査を進めるために、過密なスケジュールをこなすが、その合間に設営作業を手伝ったりする。

 

いよいよ明日は南極大陸に上陸する。