カテゴリ:2017年12月



氷河の予察キャンプとラングホブデ氷河(背後)
 南極への到着もその後21-22日の二日間も好天に恵まれた。「夏の時期の南極は暖かい」経験者からそんなことを聞かされて「そんな訳ねえだろ!?」と思っていたが、ほんとだった。風さえ吹かなければ、氷河の脇の池の水でタオルを濡らして裸になって体を拭くのも苦にならない。...
  しらせが順調に航海したので、ヘリコプターによる輸送が1日づつ繰り上がった。12/20予定より1日早く氷河チームとともにラングホブデの雪鳥沢に飛ぶ。ラングホブデはノルウェー語で長い丸い(なだらか)丘という意味らしい。昭和基地のあるオングル島も含め、この辺りの地名の多くはノルウェー語だ。...
 暴風雨圏での揺れは、比較的穏やかだったという。その後、前進後退を繰り返して氷を割るラミングも、多い年では数千回にもなるのに25回に留まった。しらせは順調に航海を続け、12月16日に大陸からの氷続きの場所である定着氷に辺縁に到着した。  ...
 朝飯を抜いて朝寝していると、艦橋からの放送が、昭和基地から240マイルの流氷域の辺縁に到着したことを告げる。午後は、野外調査旅行チームへの食料配布でほぼつぶれるので、時間に余裕のある午前中に走ることにした。...
南極で走れるだろうか?何より往路20日、復路40日というしらせ艦上で体を動かすことができるのだろうか。30年以上にわたりトレーニングを続けてきた僕の最大の懸念はそこにあった。それでも最近は週5日より多く走ることはなくなったし、2日間続けて運動しなくても我慢できるようになった。だが、20日は無理!...
測地学的には南極圏は66度以南だが、行政的には南緯55度が南極地域と定義されている。その通過は、南極観測隊の公式発表に含まれるほどの項目となっている。12月7日、6時50分過ぎに南緯55度を通過した。これによって自衛隊員や観測隊員の日当も変わるので、あらかじめ決めた日程を守ることが船の運行上最優先される。時にはその手前でジグザグに航海したり、スピードアップしたりすることもあるそうだ。  私たち同行者に手当てはないが、しらせに納める食費が変わる。朝飯328円、昼食590円、夕食648円の単価が、南緯55度を過ぎると約1.5倍の476円、872円、960円に跳ね上がる。南緯55度までの値段でもこれでもかというくらい食わせてくれるのに、いったいどんな豪華な食事になるのだろう?運動しなくちゃ!
 出発して4日目。すでに日付の感覚は失われつつある。船室には窓がないので、意識的に甲板に出ないと明るいのか暗いのかさえ分からない。日常での日付感覚が週単位の行事とか、スケジュールに支えられていることがよく分かる。  1日目の午後にはもう陸は見えなくなったが、その状態がもう数日続いてい...
フリマントルを出て約7時間。日はまだ高く、照りつけている。観測隊の行事は終わって、艦上体育の時間となった。しらせは海外では「軍艦」扱いだから日本国を代表する扱いを受ける。威容保持のためいくつもの決まりがあり、そのうちのひとつとして、甲板に短パンで出ることが許されていない。しかし、艦上体育の時間帯だけは短パンで運動することが許されている。  夏訓練のときから結構運動が好きな人が多いことは分かっていたが、60人強の観測隊のうち20人近くの人が走っていた。研究者や技術者にはランニングのようにこつこつとやる運動が好きな人は、意外と多いのだ。  島影ひとつ見えない大海原の上でのランニングは爽快だ。しらせの01甲板は一周約250m。たいていの体育館の二階のギャラリーよりも距離はあるし、幅が広いので、追い越し、追い抜かれも苦にならない。おまけに船首に向かって走るときには強い向かい風になるし、時々揺れる船体に対してバランスをとらなければならないので、体幹にもよい。暴風雨圏を抜けたら2~3人組での60分リレー大 会、なんて楽しそう♪ *村越の代わりにTEAM阿闍梨が記事をupしています