カテゴリ:2019年3月



開始から60年以上たった今でも、南極は自然科学に多くの発見をもたらしている。そこは氷に覆われた、一般の人には近づくことすら難しい大陸である。だが、自然科学が発見を業績としている以上、そこには多くの未知のデータが科学者に発見されるのを待っている。しかも、地球上の他の場所にはほとんどない寒冷と雪氷という環境が、そこにしかないデータの蓄積を可能にしている。たとえば、59次隊から始まった100万年のアイスコアの掘削がそれだ。南極の氷は水が凍ったのではなく降った雪が圧雪されて氷になる。その過程で降った時の大気が雪の中に閉じ込められる。氷面を深く掘れば掘るほど古い大気が閉じ込められている。大陸の山頂部(といっても高原状の場所だが)をできるだけ深く掘れば、そこには太古の大気が眠っているのだ。約3000m掘って100万年間の大気を手にいれる。そのプロジェクトが進行中である。